事務でもフリーランス(個人事業主)で仕事をするという方法はないかしら。フリーランスだとwebデザイナーやシステムエンジニアの情報ばかりで、事務をフリーランスでやるなんてないのかな。

そんな風に思っているあなたのために、フリーランスで事務をやるために必要な準備やお金事情、自由や楽しさなど疑問に思っていることについてまるっとひと通りお話しします。

7以降は必読、それ以外は興味のあるところから読んでみてください。

Contents

フリーランスで事務とは

まずフリーランスとは、会社に雇用されずいわゆる個人事業をしている状態を指し、事業内容が事務代行業になります。つまりフリーランスで事務をするということは、個人で事務代行サービスを営んでいる、ということになります。

事務の仕事でもフリーランスで行うことができる

フリーランスで事務をするということは、一般企業と業務委託契約を結び事務業務を代行することを指します。仕事内容は普通に会社に所属している事務員さんと同じで、契約形態が違うだけ、ざっくりとそのようにイメージして読み進めてくださいね。

ネットや本を探しても情報は出てきませんが、すでにOLを卒業してフリーランスで事務をしている女性はいますのでご安心ください。

クライアントと仕事が豊富

事務の場合は正社員や契約社員、パート・アルバイト、派遣社員が一般的ですよね。フリーランスの事務に仕事を頼む会社はどんなところなのでしょうか。

小規模事業者が主なクライアント

フリーランスの事務に仕事を依頼する企業の大半が1名~50名以下の小規模なところです。企業だけではなく税理士や社会保険労務士などの士業や個人事業主もクライアントになります。理由は大きく分けて二つです。一つめはある程度の規模になると事務員を雇用できるだけの体力と仕事量があるため、フリーランスに頼む必要がなくなります。小さな会社は事務の仕事量が少ないので、月に数時間~数十時間だけ頼めるフリーランスが重宝されます。二つめの理由は雇用に関する負担の問題です。従業員を雇用するためには募集から面接、デスクやPCの準備、毎月の社会保険料の負担、給与計算や納税、年末調整など金銭的にも時間的にもあらゆる負担があります。また、働きやすさや社員の生活や成長についても考える必要があります。小さな会社にとっては事務スタッフを雇用することはハードルが高いので、これらすべての負担がないフリーランスの方が仕事を頼みやすくなるのです。

フリーランスの事務の主なクライアントである小規模事業者は、世の中全体の会社の85%を占めます。つまり、クライアントとなり得る会社はとにかく多く仕事が豊富だということです。

仕事内容は求人広告に載っているものと変わらない

フリーランスというととてもレベルの高い人にしか務まらないイメージがありますよね。事務の場合は先ほどの「2.1小規模事業者が主なクライアント」でお話した理由で仕事を発注されるので、仕事内容は普通に雇われて会社でやっているのと同じことです。派遣や転職サイトに載っているような仕事内容と変わりません。例えば請求書の発行や書類作成、売上集計、会計ソフトへの入力、ネットでのリサーチ業務、メールの問い合わせ対応、会食のお店手配、出張手配などです。

また、数名規模の会社の場合はレンタルオフィスやバーチャルオフィスを利用していることも多く、訪問ではなく自宅で仕事をすることがメインになります。そのため、PCとネットがあればできる業務が多くなります。あなたの会社の仕事で、会社に行かずとも自宅でもできるものを考えてみるとかなり多いのではないでしょうか。

必要な資格やスキル

フリーランスで事務をするのに資格や特別なスキルが必要なのではないかと心配していませんか。実は資格は何も必要ありません。事業を行うための許認可なども不要です。

実際には、あなたが今思っていることとは全然違うことが求められます。

資格はなくてもいい

「2.2. 仕事内容は求人広告に載っているものと変わらない」でもお話した通り、問い合わせ対応や資料作成、ネットでリサーチなどが依頼内容となるので資格は求められません。実際に今、資格がなくても事務の仕事をして会社から給料もらっているのですから、フリーランスだって一緒だということです。

いかせる資格

資格は不要ですが、いかせる資格もあります。一つは簿記です。3級があれば十分です。すべての事業者に帳簿をつけて税務申告することが義務付けられていますので、簿記ができることは強みになります。だた、資格だけあって実務経験がないのと資格がなくて実務経験があるのだと、後者の方が大事ですので仕訳や会計ソフトに入力する仕事の経験があれば資格がなくても全く問題はありません。

もう一つは社会保険労務士です。従業員の入社や退社、昇給などで社会保険の手続きが必要になります。社会保険労務士の資格があればこのような業務を引き受けることができますので仕事の幅が広がります。

必要なスキルはoffice®ソフト

フリーランスで事務をするために必要とされるスキルはまずoffice®ソフトのスキルです。Word®、Excel®、PowerPoint®の三つのソフトで、一から作成できるレベルは必要です。すでに出来上がっているものに入力したり、一部を修正したりするだけのレベルだと不足しているので習得することをおすすめします。

ひとりで複数社と契約することになるので、広く浅くマルチに対応することが求められます。事務の実務経験が2~3社以上あるといいでしょう。

そして事務のスキルよりも重要なのがITリテラシーの高さです。訪問せずにリモートで業務を行うことが大半になるため、ビデオ会議やチャット、クラウドストレージサービスなどあらゆるwebサービスを積極的に取り入れることになります。わからないことは自分で調べますのでネット検索を使いこなせるようになることも重要です。

仕事はどこからどうやってもらうのか

フリーランスになると自分で仕事を見つけなければいけません。ここが一番の不安要素だと思いますのでどのように仕事をもらうのかをお話しします。

人のつながりから紹介で仕事をもらう

主なクライアント層を考えると、簡単なのはビジネス交流会などに顔を出して人脈を増やして仕事をもらうのが一番簡単です。事務代行に限らず、小規模事業者の場合は紹介で仕事をもらうことがとても多いです。起業する前に人脈を広げる活動は始めておくといいでしょう。

飛び込みやテレアポなどはする必要がありませんので営業経験は全くなくても問題ありません。

仕事をもらうコツ

交流会に行けば、事務や雑務を誰かに頼みたいと思っている社長にはすぐに出会うことができます。ニーズのある人に簡単に出会えますので、特別なことはしなくていいでしょう。ただ、事務の場合は目に見える商品がないので、相手にとってのメリットを真剣に考えてうまく伝わるような工夫が必要です。始めのうちはとにかく行動量が大事です。相手の事業や考え方を尊重して、その人の夢を叶えるために自分ができることを探すつもりで交流会に出るようにすると、自分がどうしていくべきかが見えてくるので好転していくと思います。

収入っていくらあるの?気になるお金事情

フリーランスになる一番のメリットは収入が格段に増えることです。それと同時に経費も自分で負担することになります。必要なお金や収入についてお話しします。

開業資金はあまりかからない

事務代行の場合、とくに開業資金は必要ありません。自宅でできますので、最低限PCとインターネットがあればいいでしょう。その他に必要に応じて道具をそろえていくことにはなりますが、ほとんど数百円から数万円で購入できます。

毎月の経費はだんだん減っていく

毎月の経費が少ないのも事務をフリーランスでやる魅力です。交際費、通信費、消耗品費、交通費など数万円で済みます。はじめのうちは複合機を買ったり、穴あけパンチや角2封筒など自宅にない事務用消耗品をそろえたり、営業のための交際費や交通費が多めにかかりますが10万円みておけば十分でしょう。

まずは月の売上40万~50万円を目指す

売上についてはどんな料金体系にするかなどによっても大きく変わりますが、まずは月に40~50万円を目指すといいでしょう。会社員と同じだけの時間(8時間×20日=160時間)があればこの程度の収入は得られるようになります。

開業に必要な準備

フリーランスで事務をするためにはどのような準備が必要なのか簡単にお話しします。事務の場合は、事務所や材料なども不要ですので特別大変な準備をしなくてもスタートできます。

そろえた方がいい道具

絶対に必要になるものがPCとインターネット、スマートフォンです。自宅で仕事することを考えてお仕事スペースも確保しましょう。クライアントのオフィスに訪問して仕事をする場合にはノートPCが必要になります。また、コピーとプリントアウトができる複合機があると便利です。コンビニが近ければコンビニでも差し支えありません。

名刺やウェブサイト、銀行口座、クレジットカードも必要になります。銀行口座やクレジットカードは事業用に用意しなくても今まで使用していたものでも問題ありません。

開業の手続き

事務代行という理由で特別な手続きはありません。通常の開業と同じように、管轄の税務署に開業届を提出します。青色申告を選択する場合には青色申告承認申請書も一緒に提出しましょう。個人事業税という都道府県に収める税金がありますので県税事務所にも開業届を提出します。

会社員から個人事業主になると厚生年金・健康保険から国民年金・国民健康保険に切り替えることになります(切り替えない方法もあります)。また、住民税も普通徴収に切り替える必要がありますので、市役所・区役所に行きすべて手続きをしましょう。

サービス・料金を決める

自分の収入につながる大事なところですね。どんなことをいくらでやるのか、メニューと料金を決めましょう。

月額固定にする、時間単価にする、作業量に応じた単価にするなどさまざまな組み立て方がありますのでクライアントにとってわかりやすく、納得感のある料金設定にする必要があります。また、月末の請求作業が煩雑にならないような工夫もしておくといいでしょう。

契約書を用意する

クライアントとは業務委託契約を締結します。契約書に対して抵抗感や、特殊な言葉遣いから難しいものであるという苦手意識のある人もいますが、避けずにきちんと作ることが大切です。

契約書は約束ごとを言葉で書き記したもの

契約書は料金や仕事内容、支払方法や期日、解約についてなどについての約束ごとを紙に書いておいたものでしかありません。契約書の難しいポイントは、トラブルの予測です。どのような認識の齟齬が起き、トラブルが起きるかを予測してそれについてあらかじめルールを決めておくことが必要とされます。法律の専門家でもフリーランスの事務代行の専門家ではないため、トラブルの予測を完璧にできるわけではありません。契約書に関しては、フリーランスの事務代行のプロに相談するか、フリーランスの事務代行に精通する弁護士などに相談する方が実態に合ったものができるでしょう。

どんな危険や大変なことがあるのか

フリーランスで事務をしていくと、大変なこともあります。また法律に関しては、しっかりとした知識が必要とされます。知らないうちに違法行為をしてしまうことが多いのが事務代行ですのでよく調べておきましょう。

雇用契約と業務委託契約の違い

ここで、雇用契約と業務委託の違いをお話しておきましょう。業務委託契約書を交わしていたとしても、雇用と判断される場合には、クライアントが源泉所得税を徴収してあなたを社会保険に入れてあげなければいけなくなり迷惑をかけることになります。雇用と判断されるか業務委託と判断されるかは、あらゆることを総合的に見て判断されます。

例えば、

①業務で使用する道具をクライアントが用意している

②稼働時間で料金を決めている

③クライアントが仕事のやり方について細かい指示をしている

④クライアントが勤務場所や勤務時間を管理している

⑤クライアントの指示や依頼内容を断ることができるか

⑥報酬が従業員の相場よりも高いか

⑦クライアントが1社しかない

などです。雇用と判断されないように、契約内容やサービス内容などを考慮する必要があります。

知らぬ間に違法行為をしてしまう無資格問題

雇用されている従業員が行うことには問題がなくても、フリーランスとして代行すると違法になってしまう業務があります。例えば年末調整や、従業員の入社、退社時の社会保険手続きなどです。能力的にできるからと言って受けてはいけません。弁護士や税理士、会計士、社会保険労務士、行政書士、司法書士などの士業の各法律で定められている専業業務の範囲外で業務を行うようにしましょう。

競合が多い!事務代行ブーム

ここ数年で、事務代行会社が急増しています。オンライン系や派遣と同様の出張型、経理専門、資料作成専門など各社特色があります。クライアントが多い分、こうした法人が競合となりますので、長くフリーランスで事務をしていくためにはしっかり戦略的に事業をしていくことも考えましょう。

病気やケガの時、代わりがいない

フリーランスの場合は、同僚がいないので自分の代わりに仕事をしてくれる人がいません。webデザイナーやエンジニアなどは人数が多いので同業者が大勢いますが、フリーランスで事務をしている人とつながることは非常に難しいでしょう。3年間フリーランスで事務代行をしても、同じくフリーランスで事務代行をしている人に出会ったことはありません。

女性の場合は出産などで数ヶ月お休みすることもあります。しっかりと代理人を手配しておくこともフリーランスとしての責任と言えます。

全部自分で解決する

契約を解消された、お金を払ってもらえない、未経験の仕事の依頼でわからないことだらけ、仕事が取れない、PCが壊れたなど、いかなる問題もトラブルもすべて自分で解決しなければなりません。専門家を頼ることもできますが、いい専門家を探すことは案外大変です。ネットや本で調べたり誰かに聞いたりしてとにかくどこかから答えを見つけ出してくる必要があります。こういったことに慣れるまでは少し大変かもしれません。

もう戻れない~フリーランスの圧倒的な自由と楽しさ~

起業した人の多くが、「もう会社員には戻れない」と言います。自分のわがままを一つひとつ叶えていけるので時間が経つほどに、その自由と楽しさが当たり前になってしまいもう元の生活には戻れない人間になっていきます。

自宅で仕事をする自由

自宅で仕事ができるということは何にも代えがたい甘い蜜のような状況です。通勤時間は0秒。お化粧や身支度も必要ありません。仕事中に電話や来客対応、同僚のおしゃべりで仕事を中断されるストレスから解放されます。眠たい時にはベッドで眠りましょう。1時間寝ても1時間遅くまで仕事をすればいいだけです。

洗濯などの家事もできますし、銀行や郵便局などのおつかいも昼休みに急いで済ませる必要はありません。お子さんやペットがいたり、介護をしたりしている人にはとても都合がいいでしょう。

どれくらいの時間でいくら稼げるか

例えば、1時間2,500円で月に160時間仕事をすると40万円になります。3,000円にすると48万円です。あるクライアントから月に40時間の仕事をもらい、2,500円の時間単価で計算して月額を10万円にして契約したとします。徹底的に効率化して20時間で終わらせることができるようになれば、1時間で5,000円稼いだことになります。160時間にしたら月に80万円の収入です。

通勤時間は0秒ですので1日8時間仕事をしても16時間は自分の自由な時間ということになりますね。

単純計算で月額10万円のクライアントをたったの5社見つけるだけで実現できることになります。営業が苦手だから、自信がないから、契約書が作れないから、とためらっているのは実にもったいないですよね。

すべて自分で設計できる

メニューも契約書も自分で作ることができますので、やりたくない仕事はやらないですみ、得意なことや好きなことをメニューにできます。また営業時間や休業日を決めるのも自分です。自由になるお金と時間が増えますので趣味ややりたいこととの両立も、会社員よりもずっと簡単にできるようになっていきます。事務の場合、納期が決まっていないことが多いのでスケジュールを比較的自由に決められます。平日の日中の習い事も全く問題ないでしょう。

誰かに何かを指図されることもなく、会社の方針ではなく自分のポリシーに則って人生を歩んでいけるようになるでしょう。

自由度と視野が広がっていく

フリーランスとして活動していくと、自分の周りが経営者やフリーランスばかりになっていきます。自分と同じように会社員を辞めて自分で事業を始めた人たち、やりたいことを生業にしている人たちの中で、今まで知らなかった仕事や生き方を次々と知っていき、それが当たり前になっていくでしょう。もっと自由に、自分に制限をかけることなく生きていいのだと思えるようになります。会社員の時と反対で、やりたいことをやらないことの方が不自然に思えるようになるので、ずっと憧れていたことに挑戦する気持ちが芽生えるでしょう。

事務代行以外の事業もできるようになる

フリーランスで事務代行業を行うことは、他の事業に比べるとかなりハードルが低く簡単だということがイメージしていただけたでしょうか。

自分でサービスを作り契約を取るということや仕事をして納品する、お客様と関係性を作ってサービスを向上させていく、あらゆる問題を乗り越えていく、そういった事業者としての一通りの経験をすれば、事務とは全く違う別の事業を始めることもできるようになるでしょう。

まだまだあります。

まとめ

  • フリーランスの事務とは、一般企業と業務委託契約を結び事務業務を代行すること。
  • 小さな会社からの依頼が多く、仕事内容は普通の会社員と同じ。
  • 資格は不要だけどインターネットやwebサービスに強い方がいい。
  • 仕事は紹介でもらえるように人脈を広げていく。
  • 開業資金や毎月の経費はあまりかからない。
  • 売上は月に40~50万円。やり方次第で倍も可能。
  • 必要な手続きは個人事業主が行うものと同じで事務に限った特別なものはない。
  • フリーランスで事務代行をすることに詳しい人に相談して契約書を作る。
  • 関係する法律をしっかり調べておく。
  • けがや病気の時のために代わりの人を見つけておく。
  • 自宅で仕事ができて時間的にもお金的にも自由。
  • 自分でメニューやルールを作り、自分のポリシーに則って生きられる。